iOSのアップデートにご用心

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もうすでに今更ですが、巷の阿鼻叫喚でお馴染みのiOS6マップ。
この出来損ないの失敗作については現時点で擁護のしようがなく、iPhone5を手に入れた人にはお気の毒と言うしかない状況です。

既存の4や4Sのユーザーも、iOSのアップデートをうっかり行ってしまい、途方に暮れている人もたくさんいるのだとか。
Macと違い、うっかりOSのバージョンを上げてしまったiPhoneは、簡単には元に戻せません。
初期化して旧バージョンをインストールし直すとか、工場出荷時に戻すとか、バックアップしていたデータを使って戻すとか、そういうことが出来ないというiPhoneの恐ろしさです。

いつぞやもiOSのバージョンを戻すときに苦労しましたが、今のほうがもっとたいへんらしいですよ。
「試しにアップデートしてみよう。気に入らなかったら戻せばいいや」とお考えの方は、それが通用しないことを肝に銘じて、うっかりアップデートしてしまわないよう注意してください。

さてアップル製マップの出鱈目さはもう十分知れ渡っていると思いますが、いろんな人がわーわー言ってるのを見聞きして、ちょっと感じるところがあったので書いてみようかと。

擁護のレベル・文句のレベル

擁護の論調はこんな感じです。
・自分はマップを使わないからどうでもいい
・今後のアップデートを待ちましょう
・他の地図ソフトを使えばいい

文句のレベルはこんな感じでしょうか。
・地図として成立していない
・デフォルトであるからこそ問題

擁護とか文句ではなく、解説系ではこんな感じ
・アメリカ型の地図である
・参照データに問題はないがプログラムに問題がある
・地図ソフトメーカーさんチャンス!

ローカライズの問題

マップの醜態のおかげで、ローカライズの問題が世に知れ渡ることになりました。

“でも日本の地図は道路地図だけじゃない。
駅や鉄道といった主要ランドマークは縮尺を変えても必ず目立つように表示されているし、交差点名は表示されているしで、そういった日本の地図文化を日本の地図において取り入れるのか、それとも世界中同じ基準で同じデザインでやるのか”
参考→「3)日米(あるいは日と欧米)の地図文化に起因する問題」iOS6のマップの何が問題なのか | 混沌の屋形風呂

日本の地図とアメリカの地図では、そのデザインが根本的に全然違うということですってね。例えば交差点名や鉄道の扱い、詳細データの表示についてなど、日本の地図は独特です。
iOS6のマップのあまりにも酷い出来を前にして影に隠れそうな問題ですが、根本的なソフトの思想を変えない限り、例えデータが修正され「正しい道路地図」になったとしても日本では使い物にならない、というか、日本で一般的な地図に比べたら永遠に見劣りすることになるのかもしれません。

地域に合わせた展開を拒否し、何でもかんでも自分たちの常識で統一してやろうというのはAppleのいいところでもありますが悪い癖でもあります。
例えばAppleWorks(クラリスワークス)を置き換えるソフトとして鳴り物入りで登場させたPagesというワープロソフトには縦書き機能がありません。
こんなものが日本でワープロソフトとして使い物になるわけがなく、誰も相手にしなくなりました。
Apple的には、日本でのPagesの売り上げなどどうでもいいと思えるほど市場規模が小さいというのもあるでしょう。
これをマップに当てはめると、日本人にとっては夢も希望もない結論が導き出されます。iOS6のマップが、google mapのように日本向けにローカライズされる可能性は低いと思うからです。
今後数年間かけて使い物になるくらいに修正されたとしても、日本ではこれをメインに使うという人は少なくなっているかもしれません。

MacOSXとiOS パソコンとスマートフォンの違い

私が強く感じるのは、Appleやそのファンたちがある大きな勘違いをしているという点です。
例えばMacOSXが初めて世に出たとき、それはそれは酷い代物でした。
10.4ぐらいからようやく実用可能なレベルまで成長しましたが、それまでは実用には耐えられず、実用している多くの人が旧MacOSとの併用を余儀なくされたものです。

このとき、あまり大きな混乱が起きなかった理由は、MacOSXには未来があり更新される度にどんどん良くなるということを皆が疑わなかったからです。
「今は酷いが素質はいい。だから今後バージョンが上がる度に完成されていくだろう」
事実その通りでした。そしてこうした考えが広く行き渡り、ユーザーがメーカーに対して優しく接することが出来たのは煎じ詰めればMacがパソコンだからです。ユーザーが少数派ってのもあります。
コンピュータってのはそういうもんなのだ、という認識が割と浸透しています。永遠の未完成、改良と更新が基本。
実用一辺倒の人でさえ「ベータ版みたいのを有料で出しやがって糞会社め」などと文句を言いながらも、実用できる旧環境を整えつつ成長を楽しみにしていたり、そういうことができていました。

iOSのマップも、かつてのMacOSXと似た状況にあります。出来損ないの地図を平気な顔して世に出しました。

パソコンマニア的視点から見ると、現状が駄目というのは大きな問題になりません。
・今は駄目だが将来良くなってくるだろう
・実用するなら他のアプリなりブラウザのマップ使うなど、別環境を賢く構築すれば問題ない

メーカー的にはユーザーがマニア的なことに甘んじています。
・最初のバージョンだからこの程度で許してね
・Appleにとっての初めての挑戦なの
・今後実用化に向けて頑張るし、みんなで協力してね

と、そんな感じです。

メーカーにもユーザーにも、考え方のベースに潜むのはパソコン的発想です。未完成品ぜんぜんOK、更新のたびに良くなるぜという共同体的な思想が見え隠れします。酷い言い方をするとすれば、甘ちゃんコミューンの慰め合いで成り立っています。

しかしiPhoneはパソコンでしょうか。

ここ、判断は個人によって異なるでしょうが、一部の物好きが使っていたMacと違い、圧倒的なシェアを持ち、兄ちゃん姉ちゃんからお爺お婆までとてつもなく多くの人が使っている電話機です。
iPhoneをパソコン的に認識している人ばかりであれば何の問題もないかもしれません。しかし実用機器、家電感覚で所持している人の感覚を舐めてはいけません。

間違ったデータの地図ソフトを見て、プログラム的な何たらかんたらを理解したり「間違ってるデータは修正されていくだろう」と暢気に構えられるのがパソコン村の人、間違ったデータの地図ソフトを見て「駄目すぎる金返せ」と思うのが普通の人です。

未来があろうがなかろうが、バージョン何たらがどう更新されようが、普通の感覚ではこの失態は単なる失態であり、その失態から生じる不信感はユーカリの根っこのように地面の下深く広くどばーっと張り巡らされるだろうとちょっと心配しております。

パソコン脳と家電脳

パソコン脳
・最初のバージョンだからこの程度で許してね → 最初だからね、気長に育てよう
・Appleにとっての初めての挑戦なの → googleがあれだし、仕方ないね
・今後実用化に向けて頑張るし、みんなで協力してね → おれも一翼を担うぞ、将来が楽しみだ

家電脳
・最初のバージョンだからこの程度で許してね → 知らんがな
・Appleにとっての初めての挑戦なの → 関係あらへんがな
・今後実用化に向けて頑張るし、みんなで協力してね → 雇えや

炊飯器の例

実用機器や家電のつもりでiPhoneを持っている人間から見ると、今回のマップ騒動は、タイマー機能が正常に動作しない炊飯器を買ったようなものです。
それで、何だこれはと文句言ってたらメーカーが言い放ちます。「数年後タイマー機能が正しく動作するよう更新を続けますのでフィードバックよろしく」
またあるいは炊飯器ファンが口々に「おれはタイマーなんか使わないから問題ない」とか「時計を見て計画的に炊けばいいじゃない」とか「今だけを見て判断するな、将来のバージョンできっと良くなる」とか挙げ句の果てには「使えないタイマーがカッコいいんだよ」とか「タイマーがそんなに大事ならよそのメーカーのを買いな」などと言い出してる状態ですね。

パソコンコミュニティ的発想と家電感覚の違いは実はとても大きいのではないでしょうか。

こうなればいいかな

もちろんAppleが改心して、地図のローカライズを認める方向にシフトしてくれるのが最善ですが、それにしても地図がまともなものになるには数年以上かかるように思います。

やはり、他社が出来のいい地図ソフトをリリースしてくれることに尽きます。そして、デフォルトの連携ソフトをユーザーが指定できるようになることです。脱獄とやらを行えば出来るそうです。よく知りませんが。現実的な解決方法だと思います。

個人的に、マップとその賢い連携の機能は、1.電話機能、2.フォントの美しさの次に重要なんです。
ただiTunesがある限り私はAppleの奴隷ですから、簡単にiPhoneを捨て去ることもできません。音楽に関しては以前のようにiPhoneからiPodに戻し、スマートフォンはAndroid、と、そういう展開も将来的にはは視野に入るかもしれませんがわかりません。

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