Apple ID にご注意

ある日突然「Apple ID保護のためパスワードのリセットが必要です」というメールが届きまして。

「ご利用のApple IDが無断で使用された可能性があります。セキュリティ保護のため、古いパスワードを無効にさせていただきました。できるだけ早く新しいパスワードをリセットしてください」

なにやら外部から悪さをされかけたらしく、パスワードを無効にする措置を執られたらしいのですよ。なるほど、これは良い措置であると思います。

さっそく指定の iForgot.apple.com に接続して、パスワードを変更しようとしたんですね。

iForgot.apple.com ってのは、Apple ID に関するいろいろな設定を行う専用ページでして、今回のように、すでにパスワードを無効化されているときなんかに深く設定ページへ突き進むページです。普通のアカウント設定ではパスワードで撥ねられますからね。

さて、パスワードを再設定すべく手順を進めます。

Apple ID を入力して

認証の手続きです。
私は最初、Eメールによる認証を選択したんですね。アホですね。パスワード無効化により、Apple ID で指定しているメールアドレスからはメール受信できない状態です。
しばらく後にそれに気づき、別の認証を選んで進みます。


まずはお約束の生年月日です。これは覚えています。

そして次の画面でログインできるのかと思ったら「秘密の質問」が来ました。
最初は「あぁそうですか」と、指定している猫の名前を入れます。

しかしここから大変なことになるのでした。

間違ったんですね。また入力し直します。違うようです。別の言葉を入力します。やはり違うようです。
「秘密の質問」を設定したのがいつの頃だか覚えていません。多分、mac.comのメールアドレスをあてがわれた頃だから、かれこれ10年以上前でしょうか。
思い浮かぶ言葉の断片はあるのですが、その順序や接尾語や語尾違いなどいろいろあって、どうにもこうにも合いません。
何度か間違って入力していたら、ついにロックがかかってしまいました。「何度も間違ったのでロックします。8時間アクセス禁止」と叱られました。

ややや、これは困った。現在メールのやりとりで進めている用事もありますから、8時間もできないのは困ります。

そしてここから地獄が始まります。8時間後、またアクセスして秘密の質問の答えを書きますがやはり合わずにロックされます。そのさらに8時間後、やはりロックされます。

こうして、毎日毎日「秘密の質問」の答えと格闘する羽目になってしまいました。
その間、メールは使えないわ、iPhoneとの連携は出来ないわ、もちろんiCloudも使えないわiTSもアプストアもなにもかも使えません。
だんだんと深刻な事態になって参りまして、秘密の質問の答えにも窮するようになってきまして、半泣きでサポートに連絡を入れたんですね、これが。

ご存じのようにAppleのサポートは、まず最初にどこに連絡していいのかさっぱり判りません。なるべくサポートに連絡させないよう、サイト内をあちらこちらにループで飛ばされます。奇っ怪なシステムの裏をかいていかねばなりません。例えば素直に「アカウントについて」を調べても何も判りません。
迷路のようなサポートサイト内をさまよったあげく見つけたのは「iTunesサポート」の中の「Store」の中にあるサポート連絡先でした。理解の範疇を超えています。
まあ、とにかくサポートの連絡をメールで行います。それ以外の手段が用意されていません。
フォームメールを送信すると、つぎのような絶望的な言葉を投げかけられます。

「48時間以内に返事します」

二日も待つのかーっ。この緊急時に、二日も待つのかーっ。

そういうわけで半泣きで二日間、相変わらず「秘密の質問」の答えと格闘し、ロックされ続けながら待ちます。

返事が来たのは3日経ってからでした。

「現在こちらの不具合で、パスワードのリセットが出来ない状態になっています。
お手数をおかけしまして申し訳有りませんが、再度数日後にお問い合わせ頂けますでしょうか?」

たったこれだけの文面です。
三日もかかってこれだけです。
しかも、何を言っているのか意味が分かりません。
私が問い合わせたのは、秘密の質問の答えを教えてくださいという内容です。
再度数日後に同じお問い合わせをするのか?何を書いてるんだろうこのメールは。

しかし不穏な言葉が含まれています。「こちらの不具合でリセット出来ない」と言うのです。つまり秘密の質問以前に、不具合が起きていてパスワードリセットが出来ないと言ってきているのです。
現在パスワードを無効にされているというのにリセットできないということは、Apple ID に関わる全てのものを使う術が何もないということです。

これって、より絶望的な回答ではありませんか。

ひとしきり絶望したあと、でもちょっと意味が分からないので「意味が分かりませんので、判るように回答してください」と返信したんですよ。最初のサポートメールにはいくつか複数の質問をしていましたから。その質問を全部無視されてましたから。

すると程なく返信がありました。文面はこうです。

「現在、こちらでパスワードのリセットが出来なくなっております。
申し訳有りません、現時点でいつ直るか見当がついていない状態です。
お手数をおかけしまして申し訳有りません、がよろしくお願いいたします」

こら。ボケカス。おのれ人の文章のどこ読んどんじゃ。喧嘩売っとんのか。舐めてたらあかんぞこの腐れちんぽのどてかぼちゃ。

頭から湯気が出てきたので煙草吸って珈琲飲んで心を落ち着かせてから、もう一度返信を書きます。
内容は前回と全く同じ、ただ、質問部分に番号を振って幼児にもわかりやすく書きました。「今回は番号を振りましたのでどうかお答えをお願いします」

ようやく内容があるメールが届きました。ちゃんと番号を付けて回答をしてくれました。やっぱり番号つけたり行をたくさん開けないと文章を理解できない阿保だったようです。

さて、こうしたかったるいやりとりの果てに判明したことは以下のことでした。

1. パスワードリセットをAppleに依頼することで、iforgot.apple.comを経由しなくても対応は可能である
1-2. しかし現在、世界的なAppleのサーバー不具合によって、これが出来なくなっている。復旧の見通しは全く立っていない。2011年からずっと続いているわけではない。しかし数日で復旧するとはとても考えられない(つまり数ヶ月か数年かかる可能性もある)

2. iforgot.apple.com にユーザーがアクセスして自分でパスワードリセットすることは問題なくできる

3. iforgot.apple.comの認証メールを、登録しているメールアドレス以外に送ることは出来ない

4. iforgot.apple.comの秘密の質問の答えをユーザーに教えることはできない

ちょっと待ってくれ。3と4、なんでこれが出来ひんのじゃ。

パスワード忘れた程度でも教えてくれるのに、意味不明の「秘密の質問」の答えを教えないという正当な理由が全く何も一つも微塵も全然ないやないか。と。

というわけで、この担当者では話にならないと思い、全然別のサポートを探しました。アカウント絡みの電話サポートの連絡先を見つけたので早速電話します。
しばらく喋ったあと、さらに上司の方に代わって頂けました。

「秘密の質問」にどういう回答を入力し続けているのか履歴を確認しながら、担当の方は同情しきりです。「実は、私もペットの名前を秘密の質問の答えにしてるんですよ」ということで、「それでもアカウント絡みのセキュリティが厳しすぎて、自分の力ではどうしようもできない。担当に対して、お客様が如何にお困りかを伝え、何とか善処できるようにお伝えする」という、気の毒なほど無力な、しかし心のこもった言葉を頂けましてですね、結局は先のメールの部署、あの偉そうで頭の悪そうなあっちの担当部署に社内で話を持って行くという措置の約束が精一杯でした。

Apple IDについての権限を一括で握っているiTunesのあの部署、偉そうで頭の悪そうな例のメールの男とは別の署名できちんとしたメールが届きました。
今度の方は文面も清く正しく、ちゃんと頭の良さそうな人です。しかし内容は「いい方法がないか考えますから次の情報を待っててね」という、何か、期待していいのか絶望的なのか微妙なお答え。いやあなた、いい方法は秘密の質問の答えを教えてくれることですってば。

その後3、4日待ちましたが続報はありません。

Apple IDが停止されてからかれこれ10日ほど経っております。
メール送受信はできない、ライブで使う予定だったiPhoneAppは買えない、同期もできない、iCloudもiTunesも使えない何も出来ない、そういう状況です。

その間、諦めずに「秘密の質問」の答えをせっせと書いてはロックされ続けています。

サポートはやはりあてに出来ないので、秘密の質問に関する当時のメモはないかとMac内を検索しますが、mac.comアドレスの設定した時期が昔すぎて何のヒントも出てきません。もしかしたら、昔使っていたメールソフトや別のソフトにメモをしているかもしれませんが、classic環境もRosettaも失われている今、そういう古い情報にアクセスする手段そのものがないのです。Appleの切り捨て糞仕様がこんなときにも仇になります。

毎日試す秘密の質問の答えは、重複して間違わないように途中からメモを取りながら行うようになりまして、かれこれ50通り以上書いています。まだ間違い続けています。8時間ロックをされ続けています。サポートからの返事はありません。

猫の名前であることは間違いないのです。猫は2匹いました。それぞれ、最初に付けた本名と、その後呼びやすいように変化した複数の愛称があります。二匹の猫の、どちらを先に書くのか、「ちゃん」がつくのかつかないのか、スペースを空けずに続けた言葉か、スペースや&が入るのか、もしかして2バイト文字なのか、大文字小文字は、そもそも設定したときに入力ミスしていないか、そういった細かい違いの組み合わせを考えるだけで気が遠くなります。

というわけで。

今回のことで明らかになったことをまとめます。

その1
「秘密の質問」は最悪である。パスワードやIDは教えてくれるのに、これは教えてくれないのである。
しかもパスワードより遙かに難易度が高い。DOSコマンドよりたちが悪い。一字一句間違いなく入力する必要があるので、設定時にテキストでバックアップ保存しておかない限り、いつか絶対に酷い目にあうのである。

その2
Apple IDのサポートは最悪である。何もサポートしないし、何も教えないし、お客さんの自業自得ですからわははというあざけ笑いしか残らない。

その3
Apple IDは複数のサービスの根幹にあるので、これを頼りにしすぎてはいけない。ほどほどにつきあうべきである

その4
少なくとも、メインのやりとりにApple IDのメールを使うべきではない。いつ止まってもいいようにスパムの受け皿くらいに思っておくのが賢明である

その5
Apple ID を一元管理しているサーバーかそのソフトウェアには重大な欠陥があり、2011年以降不具合が表面化している。しかも適切に修復されていない模様。現在も「修復される見込みが全くない」状況にある。この被害を受けるのは主に古くからのユーザーで「mac.com」アドレスの持ち主である。

その6
Apple ID に関する不具合をAppleは修復する気がないと思われる。つまり、被害者が「mac.com」の古いユーザーだけだから放っておけということで、いつもの切り捨て方針の延長にあると言っていいであろう。
今回のやりとりで感じたのは、古いユーザーは面倒臭いから死ね。というメッセージである。

その7
古いApple IDを破棄して新しく作り直すことを推奨しているようにも見受けられる。もちろん、以前のIDから内容を引き継ぐことはできない。メールは消え、購入履歴も消える。しかしそれだけのことだ。Appleにとって「古い環境を引き継ぐ」という思想は悪である。

ということで、強固なセキュリティは時にあなたや私を助け、時に牙をむくのであります。

[追記]

苦節11日、来る日も来る日も入力し続けた秘密の質問の答えをようやく正解しました。