Panic Novaを試した

Panic Coda の開発を打ち切り、Novaという新しいアプリケーションに仕切り直されました。Novaってどうでしょう。

こういう話題ってすぐに古くなるので最初に状況を書いておきますね。これは Nova 4 のときの記事です

Coda

Codaを使ってきて、サイト管理+エディタとして重宝してきました。

一時期めちゃ使いやすかったCodaのエディタがなぜか機能劣化してタグや括弧にカーソルがあるときに固まりを示す表示が出なくなったり、プラグインのバージョンアップがされずによく使っていた機能が使えなくなったり、カラーピッカーみたいな追加のウインドウが消せなくなったり、何となく廃れてきた感はありました。

廃れてきた感はありましたが全体的にはこれほど使いやすいサイト管理のソフトは他になく、ありがたく使い続けてきたわけです。なぜこれをディスコンにして新しいアプリを作ろうとしたのか理由がよくわかりませんが、とにかくCodaはなくなってNovaに置き換わるという。

開発初期のスクリーンショットを見て厭な予感がしたので早速ベータテスターになりましたが、インストールできる最低OSを満たしていないということでベータ版をインストールすることができず諦めていました。

つい最近その最低条件のOSを試してみたのでNovaも試すべくベータ版をインストール・・・と思ったらもうとっくにベータテストも終わり製品版が売っていました。嫌な予感をしつつデモ版をインストールしてみます。

Nova

案の定、嫌な予感は的中し、使い勝手部分がかなり辛い出来であることを確認。完成度はまだ低く、サイト管理機能は劣化、Codaの唯一最大の欠点だったところをさらに悪化させ、インターフェイスデザインの出来の悪さに愕然とします。

ボロクソ言うておりますが、その代わりエディタ機能は素晴らしくてこれは相当良くなりました。エディタ機能まで悪ければNovaを使う理由はひとつもなく簡単に見捨てることができましたがエディタが良いだけに惜しさも満開、どうしてくれようかと悶々とする羽目になってしまいました。

CodaとNova

Codaから劣化した部分、Codaより優れた部分、どっちもあります。どっちもありますが・・・

エディタ

エディタ機能はNovaが優れているところがあります。

タグや括弧の固まりが把握しやすくなったことが筆頭に挙がります。カーソル位置のタグや括弧がどの位置のものなのかすぐに判るという機能ですが、これってCodaにもかつてあったんですよ。でも途中で消えました。何ででしょう?OSのせい?わかりませんが、その機能が復活しました。これだけでNovaのエディタに価値があります。

それと、固まりを畳む機能です。畳む機能はCodaにもありますが、メニューから選ぶのもややこしいショートカットも面倒で、使えそうで使えない機能でした。Novaではクリック一発。これは嬉しい。これだけでNovaの価値があります。

この二つの優れた機能、これ、Codaのアップデートではどうにもならなかったんでしょうか。この優れた機能と引き換えに失ったものの大きさを思うと泣けてきます。

サイト管理

Codaのサイト管理はユニークで価値ありました。可愛さも含めて。

Coda サイト管理画面

Codaのサイト管理トップ画面。色は黒いが、各サイト管理のアイコンがあって、ドラッグで束にできます。サイトを選択したり開くのが恐ろしく簡単で判りやすくてキュート。アイコンは自動でサイトのキャプチャが付きますし、選択して「 i 」でサーバーなどの設定画面が出てきます。右上のアイコンからいつでもすぐにこの画面が呼び出せます。

Nova サイト管理

Novaのサイトランチャー画面。Codaの設定を読み込んだらフォルダがなくなってすべてがバラバラの状態で網羅されてしまいました。フォルダにサイト名を付けて各サイトには別のタイトルを付けていたので、バラバラにされたらどれがどのサイトのものなのか判らなくなってしまいました。

しかもこの丸っこいフォルダのアイコンデザインの酷いこと。デザインも酷いがフォルダじゃないのにフォルダの絵を付けるとは意味不明。しかも一番目立つのがでっかく赤いnovaのロゴ。

このランチャーは使い物にならないです。

シングルウインドウに拘る

なぜかシングルウインドウに拘っていて、すべてをウインドウ内で完結させようとします。これはCodaもその思想で作られていて、最大の欠点でした。ただし「新規ウインドウで開く」が使えたのでましでした。

coda 新規ウインドウで開く

大抵は他の書類を開いて参照しながら作業しますからね。

coda 作業中

Novaで改善されるかと思いきや、シングルウインドウの拘りが悪化、ますます意固地になり「新規ウインドウで開く」が機能しません。これは最悪。

開いた書類はすべて一つのウインドウに押し込められ、目的の書類を探すことも困難になります。ファイル名が省略される上に画面の外に行ってしまいファイル名を見ることもできない。CodaではアイコンでPHPかCSSかJSか一目でわかりましたがこちらは全く何の手がかりもなくなりました。新規ウインドウで開くことも出来ず、ファイル名も判別できず、書類を参照しながら作業もできない。何やってくれとんの。

Nova 書類選択

Novaアイコン

左上のどぎつい色の毛糸玉みたいなアイコン、これがNovaアイコンで、ここをクリックすると例の使えないランチャー画面が出てきてしまいます。

この投稿、トップ画像に葉っぱのアイコンを使いましたがCodaのアイコンです。このアイコンも可愛くてお気に入りです。Novaのアイコンは投稿トップにでっかく載せる気が起きませんでした。

サイト名

Novaアイコンの隣は無意味なNovaという文字列。完全に無意味な文字列で、ボタンですらないです。

ほんとはサイトを開くとサイト名になります。サイトを開くとそれらしくなりますね。

Nova サイト名を表示する部分

ここをクリックしたらサイトの情報、またはサーバー設定画面、あるいはサイトのファイル一覧、サイトのデフォルトに設定した階層、サイトのホーム、そういった画面が出てくると誰もが期待するでしょう。というかそういうのが出てこないと嘘でしょう?

Nova サイト名クリックで無意味なダイアログ
サイト名クリックで無意味なダイアログ

ところがどっこい、意味のないダイアログが出てきます。名前やアイコン画像の変更などどうでもいいです。マジいらん。マジこの画面いらん。

これってすごくクリックしやすい場所だし、ごちゃごちゃのウインドウの中で輝いて見える一等地です。ファイルの波に溺れて混乱したとき、ここをクリックしたくなりますよ。もっとも期待するのは”ホーム”です。何がホームかはさておき、困ったらホームに戻りたくなります。何度ここをクリックして絶望を感じたことか。

右側のボタン

ウインドウの右上を見てみましょう。

目アイコンはプレビューを表示、中央はサイドバー表示非表示(的なちょっと違うボタン)、その横のヒトデ じゃなくて + アイコンは新規タブボタンです。

サイドバー表示非表示の手間

サイドバー表示非表示のアイコンですが、これがまた残念なことにトグルボタンではなくてワークスペースの設定メニューが出てきてしまいます。その中に「サイドバーを表示」というメニューがあって、それを選ぶ必要があります。サイドバーを出し入れするだけのために「クリック→メニュー項目選択」という手間を要求されます。

サイドバー表示ボタン

このわずかな手間がくそほど面倒でイラつきます。

Coda サイドバー表示ボタン

Codaではこの小さなボタンがサイドバー表示のトグルボタンです。なぜこれを踏襲しない。

ミニマップ

Novaではミニマップが表示される機能がつきましたが、サイドバーとは別の扱いで、サイドバーとミニマップを表示するとサイドバーが二重にあるような表示になります。それはいいんです。ミニマップは嬉しい機能です。

Nova minimap

問題は、ミニマップの表示非表示ボタンがツールバーにありません。これどうやんの。「書式」メニューから選択します。やってられません。なんでミニマップ表示ボタンないの?なんで?

カスタマイズさせてください

というかね、プレビューボタンはいらないし新規タブボタンもいらない、でもミニマップとサイドバーのボタン、新規ウインドウで開くボタンはほしいんですよ。もちろん単なる個人の希望です。どのボタンがほしいかユーザーによって違うでしょう。普通、こういうときはどのボタンを置くか「ツールバーのカスタマイズ」で選ばせてくれますよね。選ばせてください。

ファイルブラウザ

Codaのツールバーには「ファイル」というアイコンがどんな場合にも鎮座しています。

Coda ファイルアイコン

開いている書類がどんなであろうと、ここをクリックするとファイルブラウザ画面になるという安心仕様です。

サイト管理という側面を考えると、設定しておいたそのサイトのトップ階層を示すファイルブラウザっていうのは言わばホームです。どんなに混乱してもホームボタンでホームに戻れる。この安心感は並じゃありません。

Novaはすぐれたエディタですがサイト管理という機能をなくしました。いや、ありますが、設計思想の中心からなくしました。ファイルブラウザはありますが、サイドバーの一項目になってしまいました。最初ファイルブラウザがないのでかなり右往左往しました。まさかサイドバーの部品扱いに降格しているなんて。

紛らわしいことにツールバーの + アイコンの中に「ファイルブラウザ」という項目があります。

nova ヒトデアイコンメニュー

でもそれは嘘でファイルブラウザではありません。開いているサイトとは無関係にサーバーリストの画面です。つまり、サーバーランチャーと同じ内容の画面が出てくるだけです。

Nova サイト名を表示する部分

この画面のNovaのアイコンクリックで出てくるサーバーランチャーと画面と同じ内容ですよ。見た目はちょっと違いますが。

この +アイコンの中のランチャーのほうがNovaアイコンのランチャーより優れています。トップのランチャーで崩壊したフォルダがちゃんとありました。Transmit のブラウザトップ画面と同じ、というかTransmitのトップ画面そのままですね。

Novaの「ファイルブラウザ」は「ランチャー」または「登録サーバー一覧」と認識しておかないと混乱します。

本来のファイルブラウザ(Codaではホーム級の扱いだった「現在開いているサイトのファイルブラウザ」)はサイドバー項目の一部品に降格させられました。それ以外にファイルブラウザはありません。サイドバーにファイルブラウザがあることは良いことですが、それしかないとなれば少し困ります。

「Novaはエディタやで。サイト管理?知らんがな。オマケで付けといたるさかい、これで満足してくれや」でしょうか。満足には遠いです。

そうそう、そういえば上図の + アイコンの下に四角いアイコンがありますね。このアイコンも謎なんです。てっきりサイドバーのトグルアイコンかと思ったら、なんと、 + アイコンと同じ内容のボタンでした。

nova 四角いボタンメニュー
四角ボタンのメニュー
nova ヒトデアイコンメニュー
ヒトデボタンのメニュー

とても紛らわしいですね。わずかな違いがあって「新規タブか、分割ウインドウか」です。ウインドウスペースを埋めてしまうだけという意味では同じものです。わざわざ大きなボタンを二箇所に配置する意味あるのかと思いますが、意味がある人もおられるでしょう。だからカスタマイズさせてほしいと。。。

行移動

ついでにもうちょっと重箱の隅をつつきますが、下方に何やら情報のバーみたいのがあって、行と列の表示があります。

それだけでいいのに、なぜか書類設定やタブ幅の設定がくっついています。なぜここにそれを表示させて書類の邪魔をする必要があるのか、この設定ってそんなに頻繁に使うんか?くっつけて表示する意味がどこにあるのかまるでわかりません。

nova 行移動

で、こいつは実は多機能で、行の所をクリックしたら目的の行をタイプできるんです。パッと目的の行に飛べます。それはいいことですが、なぜ素っ頓狂なところにでっかいウインドウが現れるのか。まあ、あの、これは些細すぎてどうでもいいいちゃもんでした。それより見た目です。

Codaでは実にスマートな行移動の仕組みでした。小さくて邪魔にならず、瞬時に目的を遂行する大したやつです。

coda 行移動

素晴らしい。なぜこれを踏襲しない。

未完成部分に将来期待が持てるかどうか

出来立てソフトですからまだ未完成です。サーバーのランチャーにフォルダがないなんて筆頭ですね。サポートさんは「まだ実装できていない」という言い方をしました。いつかフォルダが復活するだろうと思います。

エディタのカラーリングのカスタマイズも実装されていません。これも多分「まだ」状態なんでしょう。

行指定のバーに設定画面がくっついてるのを切り離せるようにしてくれるとか、それも今後実現するかもしれません。

頑なにシングルウインドウにこだわり、新規ウインドウで一切開かせてくれないことはどうでしょう。これは主義主張の根幹だからあまり期待できないかもしれません。

開いているファイルが混乱するインターフェイスも改善の期待はできません。斜めの区切り線もそれをカッコいいと感じる思想的な部分において譲れないのかもしれないです。

ツールバーのボタンをカスタマイズできたり、ミニマップやサイドバーの表示ボタンをつけてくれるでしょうか。わかりません。

コードエディタを使う客層はぶりぶりのプログラマーが多いと思うので、ユーザーインターフェイスや見た目のデザインのことなんかまったく頭にないと思います。むしろキーボードから手を離したくないのでボタンとか勘弁してくれよなんて思っているのではないかなと私は想像しています。ベータテスト中にも多分インターフェイスがどうのこうのなどとどうでもいいことを話題にする人すらいなかったんだと思ってます。でも私には使い勝手がすべて。困りました。

Codaをディスコンにされた以上、Novaを無視することもできないんで、ドキドキしながら今後の発展を見守りたいと思います。

※ 追記 欠落または未実装の機能

最初、エディタを全面的に肯定していましたが大きな欠落があったので取り消します。

それはエディタのカラーピッカーです。カラーピッカー以外にもいろいろなサブ画面含みます。すべてなくなりました。単純になくすとは思いにくいので、多分「まだ実装できていない」状態だと思います。

エディタの補助呼び出し画面
Codaではエディタで入力中に補助画面が出てきます。

カラーピッカー

box-shadow

こういう補助画面です。この画面、めちゃ使うんです。私、これなしでは無理です。

この機能が消滅していることに気づいたので、Novaはまだ論外という結論に変更しました。この後、下記にいろいろ書いていましたがすいません、削除して書き直しました。

※ 後に実装されました

Nova 4.2 時点の結論

エディタは一部よくできています。囲みが判る表示が復活したのはありがたいし、畳むボタンなんか大絶賛最高です。しかし重要な入力補助が未実装で惜しい。サイト管理やインターフェイス周りはまだ本気出してない感じでCodaの代わりはちょっと無理かなといったところ。今後に期待。

※ 入力補助は、カラーピッカーのみサードパーティーの機能拡張があるようでした。試しに使ってみたら、OSのカラーピッカーがただ表示されるだけで入力補助になっていませんでした。

Novaは単独でCodaの代わりを務められるほどの機能をまだ有していません。もしかしたら代替をめざしていなくて、Coda の後継の一部を担っているのかもしれません。

Transmit と一緒に使う?

FTPソフトであるTransmitがまだ現役です。サイト管理をこっちに任せてエディタとしてのみNovaを使うということを、そもそも想定されているのかもしれません。Transmit はサイト管理ソフトとして十分使えますから。Transmitとの併用を前提とすると、エディタの未実装部分さえ改善されれば二つ合わせてCoda の後継になり得ると思います。

(聞くところによると、もともとCodaもただのエディタだったが、Transmitの機能を取り入れて管理と編集の統合環境に育ったという話です。それで肥大化したから統合環境をやめてエディタとして仕切り直したのがNovaなのかもしれないです。妄想ですが)

Codaを使う

何にせよ現時点の結論としては Coda を引き続き使うというしかありません。畳むボタンが恋しいけど・・・

期待して待ちます

Novaはデモ版で、もうじき使えなくなりますが、その前にピッカーやサイト設定フォルダやサイトのホームや新規ウインドウで開くや使いやすいインターフェイスや他の未実装機能が復活する可能性は低いでしょう。復活したらまた試します。もう試させてくれないか💦

後で振り返った時に「あの時はひどかったけど素晴らしく成長したな」と思わせてくれることを願います。

Panic.com

[読み物] Panicアプリが起動中出来ないトラブル、その発生と解決と原因 – Panic事件

[追記] 早くも朗報来ました。着々と機能を取り戻しつつあります → Panic Nova にカラーピッカー

 

[最終の追記] 顛末

さて、続編記事を書いた後も時が流れ、インターフェイスデザインが改善されるのを待ちわびておりましたが、そうなる前に互換性(Mojave)を切られてしまい、もうインストールすることができなくなってしまいました。あーあ。馬鹿なところだけAppleの真似しなくてもいいのに。

ということで、Novaを捨ててCodaを使い続けることになりました。Codaは対応OSも豊富でほんと優れていますね。さようなら、Nova。遠い将来、もしかするとOSを上げるときが来るかもしれないので、そのときまた試すかもしれませんが、OS切りが早すぎて信頼がなくなったのでちょっとわかりません。

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