Drobo の代替はあるのか

2022年7月に連邦破産法第11条の適用を申請した Drobo は、その後も経営が改善することなく、消滅の危機に瀕しています。Drobo の代替をどうしましょう。

[追] その後、完全に消滅しました。公式サイトも消え、ダッシュボードアプリが通信するサーバーもなくなりました。どっかの会社がBeyond Raid引き受けなかったのかよ〜

drobo alert

Drobo代替

Drobo の特徴は主に以下の3つです。

  • 容量の異なるディスクを使用できる(交換前より小さくてもOK)
  • ほぼ何も設定する必要がなく簡単
  • 外付けストレージモデルがある

たったこれだけのことですが、これだけのことさえ、この世のあらゆるDrobo以外の機種で実現できません。

タイトルに「代替はあるのか」と書いたけど、いきなり結論としては Drobo の代替機種はこの世にありません。

Drobo が2022年に連邦破産法第11条の適用を申請した後、経営が改善したという話はついぞ聞かず、製品はすべて「生産終了」に、新しいOSに対応したドライバも用意できず、顧客はみんなどこかへ行ってしまいました。どこかの会社が買収するとか特許の Beyond RAID を譲り受けたとか、そういう噂もまったく聞こえてきません。そして最終的にこうなりました。

Drobo 公式サイトトップページ
Drobo 公式サイトトップページ

日本語だとこうです。

製品は素晴らしいのに、どこで誤ったんでしょう。covid-19 のせいにしていますがそうですか?そんなわけないと考えている顧客も多いことでしょう。

この世に代替のない優れもの Drobo ですが、多分もう未来はないようです。嘆いているだけでは埒が明かず、何とかしなければなりません。

最初はちょっと舐めていて、Drobo が世に出て永く経つのだから、他社に似たような製品があるに違いないと思ってたんですね。でも甘かった。Apertureの代替が永久に現れないのと同様、Drobo の代替もまた永久に現れないと思います。

最初に挙げた最低限3つの Drobo の特徴的機能から何かを犠牲にして次点、次次点の製品を見つけ妥協する以外に道はありません。

最初に「簡単」を取っ払って妥協します。というかそれを条件に含めません。残る二つについて、それぞれ妥協しつつ、代替製品を探していきます。

Penguin icon ここから先は、実際の製品をAmazonで探して載せています。2023年6月13日時点での時事的な話題ですので、日付に十分注意してください。時が経つと商品のリンクも、この話題そのものも、すぐに無意味化すると思います。

異なる容量のディスクを使用すること

普通のRAIDでは同容量のストレージをセットする必要があり、異なる容量を入れれば最も少ない容量として扱われます。Drobo の Beyond RAID では容量の異なるディスクをぶち込んでもちゃんと機能します。それどころか、使用容量的に問題がなければより小さな容量のディスクにさえ交換できます。この特徴と同じ機能を持つストレージ機器はこの世に一つもありません。一つたりともないのですよ。

少し似た機能を持つ機種ならあります。Synology の NAS です。NAS というのはネットワーク機器で、コンピュータに直付けできません。「じゃあ駄目じゃん」と立ち去りたくなりますが我慢して続けます。

Synology のSHRという技術が、Beyond RAID に少し似ていて、容量の異なるディスクでRAIDを組めるようです。ただし「より小さな容量のディスクに交換する」は駄目だそうです。Beyond RAID に劣っていますが、まあ、似た機能です。

他にはないの?と思いましたが、ちょっと調べた限りないようです。にわかには信じられないけど現実でした。よって、この章での結論はこうなります。

容量の異なるディスクでRAIDを組めるのは Drobo 以外では 妥協して Synology の NAS のみ

Synology の機種を少し見てみました。2ベイの安価なモデルもありましたが2ベイではお話になりません。Drobo の代替なら5ベイ必要です。妥協しても4ベイは必須ですよね。で、Amazon見てみたら・・・高っ。

なんせ没落衰退国日本ですからね、経済はもちろん、あらゆる意味で日本が未開国化している間も他国は文明国として成長を続けているので差は広がるばかりです。昭和の頃海外製品のことを「舶来」と呼んでいましたが、同じ状態にまで堕ちました。

Drobo 5C に匹敵する5ベイの DS1522+ という機種、12万円ですか。そうですか。Drobo 5C を3万円ちょっとで買ったあの頃が夢のようです。

レベルを落としましょう。4ベイありました。

… 10万円をギリギリ切る価格。安い!安くねーよ。

もうちょっと何かないのかと探したところ、型落ち品ですか?いろいろありました。

ここまでレベル落としてようやく5Cの倍くらいに収まりました。7万円台で安売り品が購入できます!悲しいですね。

今調べている段階で残り1台と書いてあるもう一個の423がこちら。

ここまで来てようやく6万円くらいまで来ました。もう限界ですね。つまり今や日本は他国の3分の1以下の堕落国なので、3万円だったDrobo 5C に匹敵するモデルを購入するには日本円で9万円〜12万円くらい必要ということです。

以上、Drobo の代替として「異なる容量のディスクを使う」を必須とした場合、簡単さを諦め、デスクトップ直付けを諦め、安価を諦めることで僅かな選択肢が残ることがわかりました。

デスクトップに繋げて使用すること

個人的に使用していたすべてのDroboはDASタイプ即ちデスクトップに直付けして外付けケースのように使うモデルでした。SG、S、5D、5C、5C と使ってきて、5Dはすぐに壊れ、異常に長持ちしていたSGもついに壊れました。残りもいつ壊れるか油断できません。壊れた場合、次のDroboを買って引き継ぐということができません。これは恐怖。何とかしないと厄介なことになります。

異なる容量のディスクをぶち込むには Synology の NAS しか選択肢がありませんでした。DAS であることを条件にすると、異なる容量のディスクを使えません。かなりヤバいですが、選択肢がないものは仕方ない。諦めましょう。

この条件で候補に挙がるのは外付けケースです。以前、Drobo 5D が壊れてしばらく安価なケースを使っていたら、見事にHDDがぶっ壊れてそれに気付かず大惨事になったことがあります。

安価な外付けケースを使う場合、Drobo を使うのとは全く異なる運用の技術が必要になってきます。

  1. バックアップを取りまくる
  2. ドライブ監視のユーティリティで常時健康チェック

この二点です。これを絶対に省略してはなりません。特にDroboやNASなどを使って普段ぬるま湯の世界にいると、HDDの故障に鈍感になってしまいます。

外付けケースには多くの選択肢がありますのでいくつか条件を絞ってみようかと思います。

RAID 5 対応

安価な外付けをスパゲッティ状態で何台も繋いで運用するということをやって酷い目に遭ったので、やや無茶ですがやはり複数ベイのモデルを少ない数で運用したいところです。バラで使っても良いけどここではRAID5を前提にちょっと探してみました。

ORICO 3559RU3

USB3.0接続、5ベイ、RAID 5 対応ですって。2万円強、安いです。ORICO のHDDケースは、2.5インチとか3.5インチとか、超安価なやつをこれまでも結構使ってきて全く問題なかったのでまあまあ信用しています。このメーカーのケースは頻繁に製品が入れ替わるのでその都度検索してさがしましょう。

Yottamaster PS500RU3-JP-SV-3

個人や中小企業向けにデータストレージや転送関連の製品を出している Yottamaster というブランドのケース。5ベイ、RAID 5、USB3.0 です。会社のことは全く知らないのですが、ORICO より安価?っていう価格帯でいろいろ出してます。リンクの製品なんか現時点で1.7万円切ってますよ。どうなんでしょう。

QNAP

NAS で追い上げる QNAP はデスクトップに繋げられる機種もあります。NAS と DAS 両方イケるというのは、ある意味 Drobo の血を引いています。そういう意味では Synology より可能性を感じますが、ただし致命的な欠点があって、標準的な RAID 5 に対応しているにすぎず、容量違いのドライブをスマートに使うことはできません。

ということはDASとして使うとなると、ただの高性能RAID 5対応HDDケースにすぎないということです。

上が4ベイ。下が6ベイです。

NASDASハイブリットで割と高性能をどう見るかで選択肢に入らなくもないかもしれませんが、私個人はこんなのに10万も15万も出すならお手軽なRAID対応HDDケース2万円のほうがよほど良いと考えています。

Thunderbolt

Drobo 5D はThunderbolt 2でしたっけ。実際、まったく早さは感じませんでした。5D3でも多分そうだったでしょう。Drobo は遅いですからね。5D より 5C のほうが体感では速いです。

私個人は速度に全くこだわりがありません(速度重視は別途用意してるので)
でも試しにThunderboltのケースを見てみましょうか。

うわさによりますと、OWC が評判良いようです。

OWC 2.5インチ 4ベイ Thunderbolt 3

2.5インチケース、Thunderbolt 3、4ベイで11万円超え。いらんわ。他もちょっと見たところ、3.5インチだと15万〜20万とか。誰かに評判いいと聞いたけど、こんなの酸っぱいを通り越して興味の対象外でした。Thunderbolt何様やねん。

OWC USBは・・・

ちなみに、OWC のUSBモデルはそこまで高価ではなかったです。4ベイしかないけど。

OWC EF-OWCMEQCTSRT00-RO 4ベイ USB3.1 Type-C RAID 5 あり。6万円くらい売ってました。5Cくらいの価格で、QNAPの半値で、ORICOの3倍ですね。こういうのの値段設定の意味が実はよくわかんないです。

安価な単独ケース、RAIDなしケース

総容量がさほど大きくなければ安価な単独ケースとUSBハブの使用を代替としても悪くないです。ただ、USBハブはよく壊れるし、安価なケースとの組み合わせで頻繁にアンマウントされたり内蔵ストレージの損傷も多くなると思います。日頃の健康チェックとメンテナンスを怠らなければイケるでしょう。

RAID非対応のただ多段のケースというのも安価で出ています。数が多いだけのときはこういうのが便利かもしれませんね。気軽だし、安いし。

ORICO のDroboライク

4ベイでRAIDなし。ただの多段ケースですが、Droboと見た目が似ています。前面カバーが磁石だし。中身は全然違うが側だけ少し似ている可愛いやつ、ちょっと欲しい。同じタイプでUSB Type-Cモデルもありまして、どちらも15000円程度です。

TimeMachine

TimeMachineの用途こそ Drobo の真骨頂でした。使ってるうちに容量が逼迫しはじめ、そのころにはかつて高額だった容量のHDDが安価になってるので少しずつ交換、たまに一個壊れたらそこいらに転がってるHDDを突っ込んで急場を凌ぐ、このようにして長年TimeMachineとして育ち続けました。これだけは安価な単ケースでは代替になりませんし、高価な Synology ですら機能が足りずまったく同じことはできません。

でもやっぱSynology のNASしかないですね。容量違いのHDDを突っ込める選択肢は他にありませんし。

おわりに

ということでごちゃごちゃ書きました。最古のSGがついに壊れて、取り急ぎ16TB分を何とかしないとヤバい。と、自分のために調べながら、ついでにちゃっかり広告リンクまみれの記事にしてみました。

ここで話題にしなかったけど、憎きSMRなら、かなり大容量のHDDがありますね。8TBを2個繋げれば壊れた SG 分を難なくカバーできるという現実にも感無量です。

Drobo の代替について、より良い知見をお持ちの方はぜひとも知恵を授けてください。また、今日のこの内容、あまり検証もせずに人づてに聞いたことを書いたりしています。間違いがあればご指摘ください。

 

“Drobo の代替はあるのか” への2件の返信

  1. Drobo潰れてたんすね・・・
    DTP事業部として強引に購入した身としては代わりが・・・QNAP Thunderbolt NAS ?! 予算出るのか・・・

    1. 残念ながら完全に消滅したようです。導入をプッシュされたんですね。心中、お察し申し上げます。
      しばらく継続して使い、置き換えの時期に再検討するしかありませんね。それにしてもDroboと同等機能の製品がこの世にないことが手痛いです。

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