画像管理のアプリ寸評 – Exposure と AfterShot

Exposure と AfterShot は写真編集・画像編集のアプリケーションを銘打っていますが、管理機能も充実しています。

Exposure icon Exposure X6

Exposure は最初 Photoshopのエフェクトプラグインでしたが、長い歴史の中でいつの間にか編集と管理の統合アプリケーションになっていました(A BRIEF HISTORY OF EXPOSURE)。社名も元の Alien Skin Software から Exposure Software に変更されています。

画像効果プラグインとしてスタートした経緯のためか、サイトトップのアプリ紹介コピーは「最高の画像エディタ」「写真編集に最適な画像エディタ」「完全な写真編集アプリケーション&プラグインです」などと、歯の浮くような言葉でエディタであることだけを強調しています。管理機能があることすら気づきにくい公式サイトですが、管理機能も実はあなどれません。

特徴

管理方法です。データベース型でも単なるブラウザでもなく、その両方を上手く混ぜ合わせた形式です。

ブラウズするフォルダを指定することで、サイドカー的にそのフォルダ内に「Exposure Software」フォルダが作られ、メタデータ管理などデータベースとして機能するような仕組みです。

ブラウジングはとても快適です。快適さではここで取り上げたアプリの中でも1、2位を争います。おかしな挙動もありません。

フィルター機能はまあまあです。まあまあなら良いほうでしょう。

ではいきます。

良い

ブラウジング

タイル表示のブラウジング速度はかなり快適。変な挙動もなく、サムネイルを一望する事に関しては優れものです。

ブラウジング概観

サムネイルをクリックすると大きなプレビューが表示され、もう一度ダブルクリックすると元に戻ります。この正しい挙動すらできないアプリが多いので、ここは大いに褒めるところです。

簡易フィルターとソートメニュー
下部には簡易フィルターとならんでソートメニュー。これも良い。

フォルダをブラウジングするときのサブフォルダの表示ももちろんできます(画面上のボタンでオンオフ)

サブフォルダ
上部の青い色がサブフォルダボタン

フィルター

簡易なフィルター(絞り込み)は快適に使えます。

下部の簡易フィルター

下部にある簡易フィルターですが、簡易検索窓ではメタデータも、鍵アイコンのところではキーワード検索もできます。

複数の項目で絞り込めるSmart Collection(スマートフォルダ)も搭載。選べる項目は比較的多岐に渡り、相対的には上位です。ただし高度な絞り込みはできず、複合検索もできず、Apertureに届かないのは当然として、この後紹介するAfterShopにすらまったく及びません。

 Smart Collection 
たくさんの項目があるのになぜかファイルタイプがない。なんで?なんで?

カスタム

左右ペインには管理や編集のための様々なコンテンツを表示できるのですが、配置や並びをカスタマイズできます。これはかなりの優れもの。余計なものを非表示にしたり、左側を管理専用にしたり、使いたいように使えます。画面上でドラッグできるわけではなく、環境設定でちまちまやるわけですが、それでもこういうカスタムができるというのは素晴らしいことです。

環境設定:パネル
左右ペインに置くコンテンツパネルを、ドラッグして好きなように配置できる。左右ペインにはさらに上下にわかれていて、上に置くとスクロールが発生してちょっと鬱陶しい。左ペインをフィルターなど管理用に使いたいときは Top に何も置かないのがコツ。
環境設定:コンテンツ
環境設定で、左右パネルや上部、下部に表示させるコンテンツを選べます

編集

管理ソフトじゃなくて画像編集ソフトだよと名乗っていますから編集についてもちょっとだけ触れておきます。

編集
編集画面

編集のコンテンツも豊富です。わりと派手目なエフェクトや調整が多いように感じられました。Apertureが地味すぎるせいかもしれませんが、元々Photoshopのエフェクトプラグインから出発しているからかなあ。

そんなことより「バーチャルコピー」機能が良いです。

バーチャルコピー

写真を選んで編集したいとき、Virtual Copy コマンドを使えば仮想的に画像を複製してくれます。これは「バージョン」と言っていいですね。新規バージョンが一発で作れるのはいいことです。おい聞いてるかPhotoSupreme。

 

バーチャルコピーの表示
「.Copy 1」と付けられたバーチャルコピー

残念

これまで見てきたとおり、かなり良質な画像管理・編集アプリ Exposure ですが、残念なところもあります。

色が黒い

とても優れたカスタマイズ機能を持っているのに、表面上の見栄えに関しては何もカスタムできません。ライトモード・ダークモードすらもありません。真っ黒です。黒すぎます。ダークグレーですらありません。この真っ黒加減は暴力的ですらあります。これについては、気にならない人、寧ろ真っ黒が好きな人もおられるかもしれません。私にとっては絶望的に致命的です。

ムービー不可

画像アプリの寸評シリーズは、そもそもApertureを失うことが出発点でした。しかし、途中で Retroactive を知ってしまい、寸評する気力を失いました。Retroactive を使えばApertureが10.15以降も延命できるからです。

ただし Retroactive で延命されたApertureはムービーが扱えません。

で、Exposure では元々ムービーが扱えないんですよ。意味ないじゃん💦

ムービー不可
ムービー不可です。サムネイルすら出てきません

今どきのデジカメにはムービー機能が付いていますよね。昔は意固地なカメラメーカーが一眼レフに敢えてムービー機能を付けないという頑固っぷりを見せていましたが今はそんなことありません。ビデオは必ずあります。サムネイル表示もできないというのは昔風頑固おやじを気取ってるんでしょうか。

所感

ということで、表示性能や使い勝手はとても良いんです。快適です。Apertureを除けばいろいろ試した中で最高峰です。アイコンのデザインも嫌味がなくていい感じです。色が真っ黒なこととムービーサムネイルが扱えないこと、この二点が致命傷となって残念感にむせび泣きの Exposure X6 でした。

Exposure icon
Exposure 公式

※ X7が出るようですがこの致命傷には一切の改善がない模様です。
 → Exposure X7 出ましたけど


AfterShot icon Corel AfterShot Pro 3

さてこちらは Twitter・・・じゃなくてAfterShot pro 3 です。2016年に出て以来、対応カメラ以外の更新がされていないっぽいですが大丈夫ですか。

Exposure と並んでご紹介するのは、このソフトも筋が良いのに、色が真っ黒けという致命傷で共通しているからです。

オーバービュー
目が潰れそうな真っ黒けの画面

特徴

ブラウズするビューアー型とデータベース型の両方の仕組みを持ちます。両方あるというのは、融合してるのではなくて、独立して両方の管理方法があってその都度選ぶんです。

管理ソフトとして良い素質を持っています。キーワードマネージャやメタデータマネージャ、多岐に渡るフィルター項目など意外とイケてます。

UIデザインに難があり使い勝手がいまいちです。

では行きます。

良い

管理ソフトとしての出来映えはフィルター機能に尽きます。AfterShotはフィルタ機能が優秀な部類です。普通の「フィルター」は全然だめですよ。

フィルター機能
通常のフィルター。これはぜんぜんだめだから放っておく

これじゃなくて、左ペインにある「メタデータブラウザ」です。これがフィルター機能です。これが優れもの。いろいろ試した中ではPhoto Supremeに肉薄する高機能を誇ります。

メタデータブラウザには沢山の項目があって、一発で絞り込めます。複数条件の絞り込みも簡単。特にフィルターを必要としなくても「日付」だけでも役に立ちますよね。メタデータブラウザはとてもいいと思います。マジ優れていまして、Exposureなど遙か引き離して凌駕します。

キーワードマネージャ、メタデータマネージャなる専用ウインドウがあって、こちらもきめ細やかな設定ができます。真っ黒けの画面にいきなり普通グレーの画面が出てきてこれはこれで目が潰れそうで驚きますが。

このあたりが AfterShot Pro の優位点かと思います。データベースとビューアがタブで切り替えられることも優位と言えるかもしれません。

それから、UI含めて日本語に完全対応しています。これはありがたいですね。ヘルプやマニュアルも日本語で読めます。有能な候補の中では唯一の日本語完全対応に感謝の気持ちが芽生えます。

編集機能も豊富ですが、すいません、まったく試しませんでした。編集機能、豊富ですよ。と、よいしょしておいてから、残念なところ行きます。

残念

色が真っ黒です。かなりの真っ黒具合で目が潰れます。それ以外では、挙動を含めたUIデザインが厳しいです。

例えばダブルクリックして大きく表示されたプレビューを再びダブルクリックしても元の表示に戻りません。また、いろんな細かいところがマウスのスクロールに勝手に反応してしまってしっちゃかめっちゃかになります。

UIパーツも、特に大きな欠陥はないのですが、何となくわずかに野暮ったいし、ビューアのディレクトリツリー表示に至っては、私がいつも悪い見本としてあげつらってるダサダサディレクトリ表示です。

・・・そう言えばTwitterみたいなアイコン一つ取っても、デザインセンスがちょっと、その、まあいいか。

デザインセンス以外では、例えばどんなアプリにも付いている「簡易検索窓」がありません。これは地味に使いにくさに繋がります。

所感

Corel AfterShot Pro 3 は多機能でフィルタブラウザが優れています。表示能力も悪い方ではない。データベース管理とビューア管理の両方が出来るし画像編集も出来るし、日本語対応の素晴らしさ。決して悪いアプリではありません。でも使っていて絶妙にイラつく操作感や真っ黒けの見た目のために、惜しいなあ惜しいなあとむせび泣くしかありません。

AfterShot icon

AfterShot Pro 3 公式

Exposure X6 と AfterShot Pro 3

ということで、やや似たところもある Exposure と AfterShot Pro を寸評しました。色が黒いことに絶望してるのが世の中で私だけだって認識してますよ。してますがどうにもなりません。

この二つのアプリ、黒いのを抜きにすれば、Exposure がバランスが良く快適操作でいい感じ、AfterShot Pro はメタデータブラウザが超優れもの、どっちも魅力あります。価格も高くないし、末期資本主義的永久高額レンタル方式で毟り取るようなこともしません。

※ あとで気づきましたが AfterShot Pro はとても安価です。Apertureを持っていたらアップグレード価格で購入できます。Exporsure の半額以下1/3に迫り、Lyn や Eagle など低機能アプリに近い価格帯です。それを考えると凄いですね。

Photo Supreme ほどクセもないし、ApertureやLightroomからの乗り換え検討にも値すると思います。ただし真っ黒が治ればの話。

 

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