バックアップは人為ミスを想定しないと…

time machine

愚痴みたいになるけど書かぬままでは辛すぎるので書きます。
ファイルを大量に失いまして。

失ったもの

私は仕事や絵や音楽やいろいろなものに手を出してるわけで、大量のファイルがあります。
大雑把にはフォルダに分けて管理しています。「仕事」「音楽」「写真」「動画」などです。
その中に「art」と括ったフォルダがあって、これは「仕事でもなく写真でも音楽でも動画でもない、それ以外の全ての分類外ファイル」つまり純粋作品とそのプロジェクトファイル群が詰め込まれたものでした。
いわば私個人の作品の全てなんですね。主にpsdやaiファイル、Painter RIFF、3Dなど数々のプロジェクトファイルや作品制作のための部品です。
「art」フォルダの中にはさらに数十個のフォルダがあったんですが、これが1個を除きすべて消え失せていました。
20年を越える間に作り込み貯め込んだ「個人作品」とそのパーツ、全てです。これがない。どういうこと?

TimeMachine

一瞬心臓がバクバクしましたが、気を取り直しTimeMachineに入ります。
ところが、TimeMachineに使用しているHDDが6TBしかないものですから、容量ぱんぱんで「最古のバックアップ」が5日前という、そういう状態でした。
最古の5日前に戻りましたが、失ったフォルダ群はありません。
失ったのは5日前よりさらに以前なのです。

データレスキュー

DataRescueを持っています。現存するHDDを片っ端からディープスキャンしました。
ディープスキャンには時間が掛かり、全部のHDDをスキャンするのに3週間かかりました。
しかし結果は期待には届かず、ディープであっても出てくるのはわりと最近の、なくしていないファイルばかり。
そりゃあそうでしょう、HDDの容量不足が深刻で、いろいろフォルダを移動させたり容量一杯までバックアップしては入れ替えるという作業を、わりと最近やったばかりです。ディープにも限度があります。

いつ失ったのか

多分、前回メインのHDDが壊れてTimeMachineから全復旧し、復旧しきれずついでにフォルダ整理をしたことがありましたが、その時うっかり自分で捨ててしまったのではないかと推測されます。あるいはもっと以前かもしれません。
MacOSはXになってからFinderの挙動が良くなくて、例えばアプリを切り替えた後でも選択の解除などがなされなかったりします。何かを選んで捨てたとき、まったく別のフォルダの別ファイルが図らずも選択されていて一緒くたにゴミ箱に入れられて焦ったことは1度や2度ではありません。

つまり、多分、人為的ミスで最も重要なフォルダ群を捨ててしまったんです。しかもそれに全く気づかぬままTimeMachineを使い続け、TimeMachineは容量ぱんぱんで過去の捨てられたフォルダ群をバックアップから消しました。

20世紀のバックアップ

さすがに失ったものの大きさに目眩がしてきます。嘔吐感にすら襲われました。
以前知り合いが自分の子供の成長記録をすべて失ったことがありましたが、あれに匹敵します。

20世紀にはTimeMachineもありませんし、大容量HDDもありません。あの頃はこまめにCDRにバックアップを取っていました。
段ボールを漁り、CDRのバックアップに僅かな望みを掛けます。
バックアップがぞろぞろ出てきました。

失ったフォルダが含まれたCDRが100枚弱出てきました。ぶっきらぼうにフォルダ名と年月だけがマジックで書かれたCDRが輝いて見えます。

全ての失ったファイルのうち、CDRに保存していた分はすべて無事に救出されたわけです。

結局光ディスクの勝ちでした。
HDDみたいな書き換え可能な生ものではなく、きっちり焼いてしまう光ディスクの強さを思い知ります。
光ディスクや、今後ならテープメディア、こうした「純粋なバックアップで箱にしまい込んで長期保存できる」媒体がやっぱり必要ですよ。

しかし、CDRでバックアップしていたのは20世紀まででした。どんなに新しいディスクを探しても「2000年」より新しい日付は見つかりません。それ以降はすべてHDDだけでバックアップしていたんですね。

「今の時代バックアップはHDDでしょ」と嘯いていた自分を恥じます。

おれの歴史は20世紀で終わったのだ

とかなんとか絶望的気分に苛まれます。「art」「作品」フォルダには20世紀までの作品が小さく復帰しました。21世紀以降の新しく大きなファイル群は完全に消滅したという現実を受け入れます。
なあに、写真や音楽やムービーは消えていない。消えたのは平面作品と立体作品と魂の記録と21世紀以降の全芸術作品だけだ。おれそのものが消えたわけでもないし芸術は過去に囚われるべきではない、昔だって油絵を描いては捨てていたではないか、気にせずまたいろいろ作ればよい。

バックアップを考える – 反省点

というわけでちゃんとバックアップしているつもりでも人為ミスでうっかり消してしまったものはどうにもなりません。うっかり消したかどうかなどTimeMachineは判断しません。TimeMachineが悪いんでしょうか。そうではなく、正しく付き合わねばならないのですね。

TimeMachineの正しい使い方

はっきりいって一番間抜けなのはTimeMachineの使い方が間違っていたことです。
TimeMachineは容量が逼迫すると過去のファイルを消します。
私はそれを普通に受け入れ「TimeMachineは現時点でのバックアップを取っておくもの」という認識でいました。
そういう認識であるにも関わらず「長期保存のバックアップ」をちゃんとしていなかったのです。「間抜けな人間が必要なファイルを知らぬ間に自分で捨てている」可能性を舐めていました。

正しくTimeMachine(あるいはHDDへのバックアップ)を行うときに厳守することはただひとつです。

TimeMachine(バックアップ用)のHDDの容量が逼迫してきたら速やかにケースから取り出し、新しいHDDをセットすること。

TimeMachineが現状に合わせてファイルを消す前に取り出せばいいだけです。
取り出したHDDは厳重に包んで保管します。
これさえ守っていればよかったのです。
通電させないHDDが数年後また回転してくれるかどうかはわかりませんが、TimeMachineがファイルを消すにまかせているよりも100倍ましでしょう。
わずかなHDD代をけちっている場合ではありません。
なぜこんな単純なことができなかったのか、たいそう悔やまれます。
皆さんはこんなことになる前に、HDDをどんどん買い足してください。

ときには光ディスクに焼いておく

ついでに、やはりいざというときに役立つ光ディスクに焼いておくのもお勧めしないではおれません。こういうものがほんとにありがたく思える瞬間が必ずや来るでしょう。
テープメディアが安価になればそっちのほうがいいですが、光ディスクは容量少ないものの、手軽で確実なバックアップとなります。
AppleやMac信者は「光ディスクなど過去のものだ、ゴミだゴミ、不要!」と偉そうですがそんなのに乗せられてはいけません。

ネットストレージ

今時ならネットストレージにバックアップするという手立ても少しは有効でしょうか。
ただクラウドをどれくらい信用するのかってのはあります。実際、信用できるネットストレージは少ないように思えます。ファイルを置くにあたって不備もあります。それに容量が少ないです。バックアップするほどの容量をクラウドにすると、目玉が飛び出る企業レベルの継続出費となりますし、大容量の転送は現実的ではありません。これはさすがに画像やプロジェクトファイルの置き場にはなりません。だから容量の小さなファイル群だけとなります。

ネットストレージの不備について

よくわからいことなのですが、ネットストレージにもいろんな技術の違いがあります。
例えばマイクロソフトのOneDriveにCDRからフォルダをコピーしたんですよ。そうしましたらですね、エラーのバッテンが出てクラウドに同期できませんでした。ファイルパスの問題、拡張子の問題のようなのです。
こうした問題がネットストレージにはいろいろあります。ディスクとは違うのです。

安価なRAID

HDDケースはすべて安価なRAIDケースを使っています。これが仇になります。
先日ケースが壊れて、中のHDDを他のケースに入れ替えたんですが、そうすると機種違いで元のように認識できないんですよ。初期化を強制されます。
多分ケースに使われているチップの違いです。

これが意外と大問題で、ファイルを失った引き金となったのもこれが原因でした。壊れてもいないHDDを壊れたケースから取り出しただけでもう認識できないガラクタと化すわけです。同じ型番のケースでないと無理なのです(多分)

だから上記「TimeMachineが一杯になったらケースから取り出す」も、安価RAIDケースを使っていると当てはまりません。HDD単体でないといけません。あるいはケースごとしまい込むしかありません。かさばるし高くつくし大変です。でもこうするしかありません。またはいっそOSのソフトウェアRAIDを使います。こっちのほうがむしろ安心だったりして。

Drobo

Droboという面白いHDDケースがあります。使ったことありませんが、今の一番の憧れです。TimeMachineをDroboで利用していたら、今回のような消失は起きなかったのではないかと思えます。
Droboも高いですが、通常メインのHDDが8TBで足りない私個人にとっては、これはもう必須アイテムなのではないかと思い始めています。

※ その後Droboを2台常用しています。これはこれでいいものですが、大容量にはすぐ慣れてしまいますし、バックアップの長期保存という観点では普通のRAIDと同じです

TimeMachineの限界

信頼できるTimeMachineですが、限界も見えてきています。バックアップ先を複数選択できないし、バックアップセットを複数持つことが出来ません。HDDの容量的に、TimeMachineの運用はなかなか難しいものがあります。
「何も考えず何も設定せず全て自動で丸ごとバックアップ」という素晴らしいコンセプトを崩すのには反対ですから、高機能でややこしい仕組みにはなってほしくありません。
大容量人間はTimeMachineと他のバックアップを併用するのがよいのです。

他のバックアップソフト

これが素晴らしいというバックアップソフトはありません。というか知りません。
今はiBackupというのとbackuplist+というのを使っていますがどちらもまあまあです。
他の良いのがあったら是非教えてください。

※ 結局iBuckupもbackuplist+もしばらく使った後、使うのをやめてしまいました。やっぱり面倒くさいのは続きません。

※ わりと良い感じなのが2.5inchHDDによる小分けのバックアップです。HDDもケースも安価で手頃、容量は少なめですが1TBくらいあればフォルダ1個くらい入ります。フォルダをコピーしてケースから取り出して保存しておくだけでも簡単バックアップ保存になりますね。

 

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